三代の永きに渡る「撥屋」としてのプライド

「高山」は明治以来、三代に渡る俗名「撥屋」で、俗名「鼈甲屋」ではありません。「撥屋」とは象牙撥・木撥を製造する専業者で、「鼈甲屋」とは鼈甲製品(主に装飾品)を製造する専業者です。

鼈甲製品を製造する一流の鼈甲専業者から見た「撥」とは、専門外の駄物であって本業製品の妨げ(手・プライドが落ちる)となり、お遊び以外に製造することは有りえません。同じく撥屋の「高山」が遊び程度以外に販売目的に鼈甲製品(装飾品)を製造することはありません。

邦楽器業界に携わる「高山」は鼈甲先撥を他の象牙撥・木撥と同様に三味線用の消耗品「撥」として鼈甲製品(装飾品)とは考えていないのです。