良い撥の選び方

良い鼈甲撥は甲材の斑(文様)が二枚及び、三枚共に同じ流れ、同一素材(色相)となっております。しかし、張り合わせの鼈甲先撥は見分け(鑑定)が難しく「一枚物」を購入することをお薦め致します。
高山以外では「一枚割」の鼈甲撥で知られる太陽楽器の製品がございます。

  1. 左右対象・センターの曲がり・捻れがない(最も大きい津山撥の場合で誤差1mm以内)
    上記、実用品の撥としての基本で有り、装飾品と異なり、絃を弾く操作性の良い撥を選ぶ。
  2. ○ 一枚の分厚い甲羅材(厚み4mm~7mm程)を手元部材(プラスチック・水牛・紅木・象牙・etc)との接合部分だけ真半分に引き割り、手元部材と接合した撥。甲羅(撥先)材への加熱を極力少なくする。
    ×薄い甲羅材を複数枚貼り合わせた撥は、接合時に過熱圧着し、手元部材との接合時にも過熱するため、過度な熱が撥(特に撥先)全体に加わり、甲羅材本来の特性(適度な硬度・しなり具合)が失われる。
    ×特に、手元部材のプラスチック成型時に甲羅材を一体成型した撥は、甲羅材に過度な熱が加わり、甲羅材の素性(適度な硬度・しなり具合)が失われ、折れやすくなる。

以上からして、一枚物の甲羅材を使用した撥を選ぶことをお勧めします。

手元部材

象牙台、紅木台、水牛台の順で象牙台が1番良いとされています。
注※ 演奏者の音質による好みにもよる

象牙材について

象牙材は大きく分けてハード材・ソフト材に分けられます。

  1. ハード材 楽器付属品の撥・琴柱・糸巻・駒・etcには音響効果に優れたハード材が使われます。
  2. ソフト材 欠けに強いので印鑑・彫刻にソフト材が使われます。

甲羅材(べっ甲)について

象牙と同様に獲れる産地によって材質が異なり音響効果が変わります。

価格について

上記を踏まえた上で、価格設定は以下のような観点で行われます。

形状

甲羅材の厚み、長さ、先幅によって価格付けされます。

斑(模様)
  1. 黒・赤・黄・白色によって価格付けされます。
  2. 撥は実用品なので装飾性の基準”斑”は二の次となります。しかしながら、”斑” の良い高価な甲羅の中に優れた音響効果の材質が多いと言われています。
  3. 手元部材の厚みに合わせ、長い甲羅程厚く高価となります。